国連決議に伴って

 
 いろいろリスクを考えておいたほうがいいね。
 たとえば、臨検の際に日本のEEZ内や下手したら領海内で北朝鮮の船が同盟国や近隣諸国(要するに米中韓露)あたりの船に武力を行使した場合、自衛隊艦船はどう行動すべきかとか。
 海上保安庁の巡視艇が北朝鮮工作船に銃撃食らったのは記憶に新しい。
 そういや「海猿」だったっけ?なんかマンガでも今そういうネタでストーリー進めてるのがあったよな。こないだ立ち読みしてたんだけど。スピリッツかそのへんの系列ので。
 
 閑話休題
 
 他にもいろいろある。国内では世論分断の工作が一層激しくなることが予想できる。すでに「北が核実験をしたのは日米が北を追い込んだからだ → 今こそ北に歩み寄れ」みたいな愚かな主張を持ち出してくる馬鹿も現れている。彼らの主張は一見すると「弱者に優しく」と主張しているように見えるが、実際はそうではない。北朝鮮がすでに信頼できない国であることは明らかだ。国際的な条約や合意の上での宣言を反故にするようなことをさんざん繰り返してきたのは北だ。約束を守らない奴に優しくしなければならない謂れはない。
 むしろ約束を守れない取引先とは取引停止というのが当然の社会的対応だ。契約を考えてみればいい。契約書を取り交わし、事業を行おうとしたとき、その契約を一方的に反故にするような行為を繰り返してきた相手が今「契約しないと貴社に対して相応の行動をとる」と恫喝してきている。普通ならどう対応すべきかわかるだろう。その関係が今の日本と北との関係だ。
 表面的に心地よい言葉を並べる奴らには注意しておくほうがいい。現実は泥臭くて結構シビアだ。
 
 中露はもう少し決議に対して抵抗するかと思ったけど、意外とポーズだけだったのかな。まだ決議の内容を詳細には読んでいないけど、中朝条約に縛られざるを得ない中国をして国連憲章第七章の含有を認めざるを得ないというのはなかなかに興味深い。
 
 なんにしろ北朝鮮は普通の理性的な国家ではない。拡大主義で帝国主義的な行動を取る一党独裁の中国ですら、まだ理性的だ。外交的にはかなり上手く立ち回っている。反日的な行動が国益を損なうと見て取ると対外的にはうまく封じ込めたように見せているのもその一例だ。そのあたりの機微が韓国には無い。だからこそ日本とは違って未だに蚊帳の外なわけだが。
 日本は外務大臣に町村氏を迎えてから外交能力を向上させ、麻生外務大臣を得てからは飛躍的な氏の活躍によって発言力を高めてきた。現内閣の安倍首相-麻生外相の組み合わせは前内閣において麻生外相-安倍官房長官のラインと同じく、この局面にあって北朝鮮のミサイル発射実験の際に日本の外交的勝利をもたらした実績を引っさげてのこの局面だ。期待してもいいのではないかと思われる。
 
 問題となるのはいざ周辺事態となったときだろう。しかもその可能性は高まっている。北はこれまで通り戦争を匂わせる恫喝外交を続けていて、特に日本に対しては独自の制裁活動を恐れる余り名指しで恫喝を試みている。さらに周辺諸国や国連は対立姿勢を取らざるをえなくなっている。北が六カ国協議に復帰した上で核査察を受け入れることは今のところ期待薄であって、支援や細々とした貿易も今回の国連決議で大きな制限を受けることになる。これで朝鮮半島はアラブに負けないような火種であることは認識できただろう。
 さて、実際に周辺事態となったら米軍はまず動けない。中東方面に軍を展開している状況で東アジアにまで軍を展開するだけの予算も支持も得られないだろう。となると、間違いなく在日米軍だけでは話にならんので、韓国軍と自衛隊も出なければならなくなるはずだ。自衛隊は後方支援ということになるだろうが、韓国軍は正面に出なければならない。そのとき国際世論がどう動くかだ。当事者である日本が先陣を切らないというのは、無責任だと映るかもしれない。
 
 北と戦う覚悟が必要となってしまった。
 
 もちろん戦わずに済むのがベストだ。しかし、北がまともに話のできる国ではないことはすでに明らかとなっている。何かトチ狂ってこんどは列島に向けたミサイルを持ち出してきたら、最早戦闘は避けられないという状況だろう。少なくとも核を持っていると主張している状況で核実験を二度行ったことが確認され、ミサイルを向けたとなると黙っているわけには行かない。自衛のためにはそれなりの対応が必要だ。そのような事態になっても武装しないとなると、それは経済大国でありながら丸腰であるということになる。それこそ「強盗さん来て下さい」な状態だと認識されてしまうだろう。キチガイ家相手にそのような無謀なマネができるわけがない。
 戦わずに済むのがベストなのは明らかだが、日本だけでどうこうできる問題ではなくなってしまった。国内世論がどうあれ、北がもう一度やったら武装するしかない。本来なら日米安保あたりで米軍にお願いするシーンだけど(強盗が来たときにセコム経由で警察呼ぶみたいなもんか?)、前述の通り米軍もすぐには動けない状況にあるわけだし。
 
 実際に北をつぶすとなるとその後がえらい問題なわけで、戦後処理を考えても戦わないのがいい。北からの大量の難民を韓国は支えきれない。となると、日本と中国とロシアも対応しないわけにはいかなくなってくる。中心になるのは日中だろう。中国にはすでに朝鮮族が住んでいるし、日本にも在日がいる。受け入れる素地が全く無いわけではないと判断されると、ロシアよりは日中に受け入れ要請が来ることは想像しやすいパターンだ。
 北がつぶれた後の半島情勢も微妙だろう。名目上は韓国が統一することになるのか、あるいは中国が信託領だかなんだかの形で支配するのかはわからんけど、どちらにしても次は北の資源の奪い合いが始まる。そういえば日露戦争あたりはあのへんの地勢的な要所の奪い合いだったわけだ。ロシアが未だに北方四島を返還しないのは太平洋に出るための凍らない港を確保したいという意図もまだあるんだろうし、だとすれば半島を確保できれば日本列島の北側を通して太平洋に出る不凍港を確保できるという意味でオイシイ。潜水艦だって浮上しないといけないわけだし。中国にしてみれば半島は本来属国で、制度上は中国の皇帝がその配下である王を配置していた、つまり領土だったわけだ。沖縄の領有を主張したときと同じ言い分で領有を主張するかもしれない。
 本来なら北が民主化してある程度国力をつけたところで韓国と統一ってのがベストなんだろうけど、そのシナリオは限りなく遠い。北の金体制が崩壊してくれれば有り難いんだけど、外交だけではつぶれてくれない上に今現在正気とは思えないだけに不安材料はタップリある。
 
 つうことで、戦わずに済む事を心の底から願ってはいるものの、戦わなければならなくなったときのことを考えておく必要があるというわけだ。
 
 っつうかまさか解ってて安倍-麻生のラインを維持したんじゃなかろうな>自民党
 ・・・あるいは小泉最後の剛運か?
 
 そういえば最近出てくる北のアレの写真は全て北朝鮮伝統芸術合成写真ばかりだけど、生きてるのか?