ねこねこねこねこ
ねこ。
太陽の匂いを全身にまとったねこ。
ふわふわのねこ。
喉をなでると満足げにごろごろと喉をならすねこ。
仕事をしている俺をただ見ているだけのねこ。
時には邪魔をしてそんなことより遊んでくれよと主張するねこ。
つっと寄り添い軽く体を足元に摺り寄せてから見上げて「なぉ」と一声鳴くねこ。
朝、布団の上から俺を揺り起こすかのようにもみもみと踏みつけるねこ。
何気なく鼻先を近づけ「ん〜?」と鳴くねこ。
冷たい鼻先で頬にひとつ印をつけるねこ。
やわらかな肉球で俺の頬を冷やすねこ。
ちょいちょいとあやす手を両の腕でしっかと掴んで甘噛みしながらげしげしと蹴るねこ。
布団の中にもぐりこんでわきの下に頭を突っ込んでぐりぐりと落ち着きどころを探すねこ。
暑さにやられてだらしなく伸びたねこ。
香箱を組んで「おい」と呼びかけても尻尾だけで答えるねこ。
疲れて帰った俺におかまいなしに晩御飯をねだって足元にすがりつくねこ。
あたたかな体を預けて膝の上で目を閉じて俺の自由を奪うねこ。
トイレを掃除しろと俺のズボンの裾を噛んでひっぱるねこ。
いつも知らん振りのクセに俺が出勤しようとすると切なげに鳴いて引き止めるねこ。
そっと晩飯のおかずを取ろうとして見つかって「しまった!」という表情で凍りつくねこ。
朝新聞を読もうとしたらその上に座り込んで毛づくろいをはじめるねこ。ノートパソコンの上に座り込んでじっとこっちを見ているねこ。
さて寝ようかね、と横になった俺のそばにやってきてざらつく舌で耳をひと舐めするねこ。
精一杯じゃれつくねこ、目を細めてカルカン食うねこ、時にはフーっと威嚇するねこ、甘えてなぁおと鳴くねこ、呼べばんん?と返すねこ、俺の腕枕で寝息をたてるねこ、俺の言葉を背中で聞いているふりをするねこ、ただそこにいるだけのねこ。
ただ、俺の為すことを見ているねこ。ただ、俺の視線の先にいるねこ。
思うまま自由に振舞い、俺に餌をねだり、甘えたいときに甘え、気が乗らないときはぷいと横向くねこ。
ねこ飼いたいなあ。でもペット不可なんだよなあ。