昨日の続き

 
 武雄市図書館にCCCを指定管理者に公募ナシで選定してTポイントカードを図書カードにすることで条例違反になる問題。
 
 まずは私が武雄市長物語というブログのコメントで質問した内容を。長いですが。


Commented by 他力本願堂本舗 at 2012-05-08 06:57 x
追加で質問があります。
市長権限で公募せずに随契する,少なくとも現時点で基本合意を締結した根拠になる条文は「武雄市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例」第五条かと思いますが,そこにはこうあります。

第5条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、第2条の規定による公募によらず指定管理候補者を選定することができる。
(1) 公の施設の性格、規模、機能等を考慮し、設置目的を最も効果的かつ効率的に達成することができる団体があると認められるとき。

さらに第五条を適用する際には

2 前項の規定による指定管理候補者の選定に当たっては、市長は、選定を行おうとする団体と協議し、第3条に規定する書類の提出を求め、前条各号に照らし総合的に判断するものとする。

とあり,第三条では

第3条 指定管理者の指定を受けようとする団体は、規則で定める申請書に次に掲げる書類を添えて、市長に申請しなければならない。
(1) 指定管理者の指定を受けようとする公の施設の事業計画書

とあります。これを踏まえての質問ですが,

(続きます)
Commented by 他力本願堂本舗 at 2012-05-08 07:01 x
1:CCCがベストであるという根拠はなんでしょうか
2:事業計画書を受け取っているのであれば,TポイントカードがCCCのマーケティングデータのベースになっていることはご存知のはずで,先に私が問うた質問とあわせてTポイントカードと貸し出し履歴を紐付ける結果となること,すなわち貸し出し履歴が個人情報と容易に紐付くことをご存知のはずで,当エントリにおける「個人情報にはあたらない」という見解と矛盾します。また,個人情報と紐付かない形で貸し出しを管理できるような事業計画の場合,どのようにしてポイントを付与するのか,当然ながら事業計画書に記載があるはずなのでお答えいただけるものと存じます。
3:会見の様子では市長が個人的にCCCおよびCCC社長を気に入ったので選定し,基本合意まで行ったように見えましたが,先述の条文では「公の施設の性格、規模、機能等を考慮し、設置目的を最も効果的かつ効率的に達成することができる団体があると認められるとき。」とあり,ごく一般的な日本語の文理解釈をすれば他社と比較検討した結果CCCがベストであると判断した場合にのみ適用されるように読めますが,他社としてどこを比較対象にしたのでしょうか。
(続きます)
Commented by 他力本願堂本舗 at 2012-05-08 07:01 x
4:市長は指定管理者「候補」を選定できるだけであるように読めますが,すでに基本合意を締結するなど指定管理者としての委託契約を行い始めています。これは越権行為ではないでしょうか。

以上,基本合意の締結には事業計画書の提出と合意が必要であること,また,公募せずに市長権限で随契による指定管理者選定には他社との比較検討および選定先からの事業計画書等の提出が必須であることから,当然明解なご回答が頂けるものと期待しています。

 
 Tポイントカードを図書カードにすると,Tポイントカードの番号と個人情報,貸し出し履歴の三つがCCC内部に揃ってしまいます。
 Tポイントカードの番号は個人情報に紐付いており,ポイントカードで図書の貸し出しを受けるとカードの履歴に残ります。
 つまり,カード番号が中継することでいつ,どこの誰が何を借りたかがCCCにわかるのは明白です。
 このことはTポイントカードを使う前提で事業計画を立てているならはじめからわかっているはずのことで,Tポイントカードの規約を読めば少なくともネット会員ではなく,ポイントプログラムへの参加か,ポイントプログラム参加とネット会員の紐付けのどちらかになるはずです。
 また,Tポイントカードが発行されるためには住所や氏名の提示が必要です。
 問題は規約の第四条です。引用しておきます。
 
 
第4条 (個人情報について)

1.
個人情報のお取扱い
当社は、本条第2項記載の会員の個人情報を必要な保護措置を講じた上で取得し、本条第3項記載の各利用目的のために利用させていただきます。また、本条第4項記載の共同利用者と本条第3項記載の各利用目的のために本条第2項記載の個人情報項目を共同して利用させていただきます。
なお、インターネット等当社が別途定める方式にてすべての項目にご登録いただくこと及び本項の記載内容にご同意いただけない場合は、会員登録をお断りすることや、会員登録完了後に退会の手続きをとら せていただくことがあります。 但し、本条第3項(4)記載の利用目的にご同意いただけない場合でもこれを理由に入会をお断りすることや退会の手続きをとることはございません。 この場合、会員は、当社に対して本条第3項(4)記載の利用目的に基づく会員の個人情報の利用停止を申し出ることができます。 利用停止を申し出る場合には、本条第8項記載の「届出書」の所定欄に必要事項をご記入の上、当社指定の方法にてご提出ください。
2.
当社が取得する会員の個人情報の項目
(1)「お客様登録申込書」の記載事項及びTログインIDお申し込み時の登録事項(変更のお申し出の内容を含みます)氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、電子メールアドレス等
(2)ポイントプログラム参加企業における利用の履歴
(3)TログインID及びTカードの停止・退会状況その他第3条第2項に関する事項
(4)ポイントの付与又は使用等に関する情報
(5)クレジットカード番号
(6)その他の記述または個人別に付与された番号・記号その他の符号
(7)画像もしくは音声によりその個人を識別できるもの
(8)サービスご利用内容
(9)サイトへアクセスしたことを契機に機械的に取得された、お使いのブラウザの種類・バージョン、オペレーションシステム、プラットフォーム等のほか、閲覧履歴、購入の履歴を含むサービスご利用履歴
(10)お問い合わせなどの情報
(11)会員のコンピュータがインターネットに接続するときに使用されるIPアドレス、モバイル端末でのアクセスによる契約端末情報
(12)モバイル端末による位置情報
(13)新たなサービスご利用の際にご提供いただく一切の事項
3.
利用目的
(1)TログインIDの入力またはTカードの提示により提供する、第1条第2項記載事項に代表される会員サービス(ポイントプログラムを含みます)の円滑な運営のため
(2)ポイントプログラムの変更等の場合に、後継プログラムへの引継やそれらに関連する業務を行うため
(3)会員のライフスタイル分析のため
(4)会員に対して、電子メールを含む各種通知手段によって、会員のライフスタイル分析をもとに、または当社が適切と判断した企業のさまざまな商品情報やサービス情報その他の営業案内または情報提供のため
(5)会員の皆様からのお問い合わせ、苦情等に対し適切に対応するため
(6)その他上記各利用目的に準ずるか、これらに密接に関連する目的のため
なお、個人情報の利用にあたっては会員が退会後も上記?記載の利用目的のために利用できるものとします。
4.
共同利用者の範囲及び管理責任者
当社の連結対象会社及び持分法適用会社
ポイントプログラム参加企業(TSUTAYA加盟店を含みます)
本条第3項の利用目的のための共同利用に関し、個人データの管理について責任を有する事業者は当社とします。
5.
会員がポイントサービスの利用のためにポイントプログラム参加企業においてTログインIDを入力又はTカードを提示した場合、当社とポイントプログラム参加企業との間において当該会員の個人情報が相互に提供されることについて 、当該会員は同意したとみなされることとさせていただきます。 かかる個人情報の提供にご同意いただけない場合には、ポイントプログラム参加企業におけるポイントサービス(ポイントの付与及び使用を含みます)をご利用いただくことはできません。
6.
当社は、運営業務の一部を守秘義務契約を締結した委託先に委託しています。委託先は、委託業務を遂行するために必要な個人情報に接し、これを利用します。
7.
当社の連結対象会社、持分法適用会社及びポイントプログラム参加企業は、当社による他企業の合併・買収、新規のポイントプログラム参加企業の加入その他の事由により変動する場合があります。 最新の情報は随時当社Webサイト、またはhttp://www.ccc.co.jpにてご覧いただけます。
8.
会員が自己の個人情報について、個人情報保護法またはその関連法令に基づく利用項目の通知、開示、訂正、追加、削除、利用の停止、消去、または第三者への情報提供の停止(以下「開示等の求め」といいます)を求める場合には、当社所定の届出書にてご請求ください。届出書につきましては、http://www.ccc.co.jpにアクセスいただくか、Tカードサポートセンターまでお問い合わせください。
ご請求の内容について確認の上、適切な処理を実施し、開示については書面または会員にご同意いただいた方法で、その他の措置の結果については電話または電子メール等により、遅滞なく回答させていただきます。なお、所定の手数料をご負担いただく場合があります。
9.
個人情報のセキュリティについて
当社では、個人情報を利用目的に応じて必要な範囲内において、正確かつ最新の状態で管理しております。 これらの個人情報は漏洩、減失、毀損などのリスクに対して、経済産業省が告示した「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」に準拠し、技術面及び組織 面において合理的かつ厳正な安全対策を講じます。

 
 まず,第二項にこうあります。
(1)「お客様登録申込書」の記載事項及びTログインIDお申し込み時の登録事項(変更のお申し出の内容を含みます)氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、電子メールアドレス等
(2)ポイントプログラム参加企業における利用の履歴
 
 Tポイントカードで図書を借りるということは,個人情報に紐付いて貸し出し履歴がCCCに蓄積されるということです。
 
 続いて第三項にこうあります。
 
利用目的
(1)TログインIDの入力またはTカードの提示により提供する、第1条第2項記載事項に代表される会員サービス(ポイントプログラムを含みます)の円滑な運営のため
(2)ポイントプログラムの変更等の場合に、後継プログラムへの引継やそれらに関連する業務を行うため
(3)会員のライフスタイル分析のため
(4)会員に対して、電子メールを含む各種通知手段によって、会員のライフスタイル分析をもとに、または当社が適切と判断した企業のさまざまな商品情報やサービス情報その他の営業案内または情報提供のため
 
 Tポイントカードを図書カードにするということは,個人情報と紐付けられた貸し出し履歴が分析され,セールスに使われることが規約上明らかです。
 米国で問題になった「買い物履歴から妊娠がわかったので少女にその手の商品案内が・・・・」といったことが,武雄市では図書館で起こりうるんです。
 これは図書館の指定管理者として指名するには不適切です。図書館から本を借りて調べ物をしたり,絶版になった本を読んだりしていると,貸し出し履歴が分析され,さまざまな商品案内が送りつけられます。
 当然です。CCCはその基幹業務にマーケティングと広告を掲げているのですから。
 
 しかし武雄市長は自身のblogでこう釈明しました。
 

では、論点の図書館の貸出履歴が、個人情報に当たるかというと、ちょっと具体的に言うと、「樋渡啓祐が「深夜特急」「下町ロケット」「善の研究」を5月6日に借りた。」この情報が外部に出るとこれは個人情報の関係法令の適用に当たる、これは当然。

僕が言っているのは、「5月6日20時40分、42歳の市内在住の男性が、「深夜特急」「下町ロケット」「善の研究」」を借りた。 」ということそのものについては、個人が特定できないし、仮にこれが外部に出ても法令に照らし、全く問題がない、これが僕の見解であり、図書館の貸出履歴は、これをもとに、個人情報 に当たらないって言っているんです。 個人が特定できない。



 
 明らかに,明確に,意図的な,ウソです。Tポイントカードを使う限り,そいのような匿名情報で貸し出し履歴が渡ることは絶対にありません。なぜなら規約上カードに紐付いた個人情報を分析に使うことになっているからです。
 このことは市条例に基づいて公募しなかったと主張する市長の言に従えば,該当する条例は「武雄市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例」です。引用しておきます。
 

第5条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、第2条の規定による公募によらず指定管理候補者を選定することができる。
(1) 公の施設の性格、規模、機能等を考慮し、設置目的を最も効果的かつ効率的に達成することができる団体があると認められるとき。
(2) 第3条の規定による申請がなかったとき又は前条の選定の結果指定管理候補者となるべき団体がなかったとき。
(3) 指定管理候補者を指定管理者として指定することが不可能となり、又は著しく不適当と認められる事情が生じたとき。
(4) 指定管理者が、第9条第1項の規定により指定管理者の指定を取り消されたとき。
2 前項の規定による指定管理候補者の選定に当たっては、市長は、選定を行おうとする団体と協議し、第3条に規定する書類の提出を求め、前条各号に照らし総合的に判断するものとする。
 
 つまり,(1)公募するまでもなく該当一社に委託することがベストである,(2)公募に応募がなかったか,あるいは選定結果全社欠格したとき,(3)公募結果選定した業者に問題が発覚したとき等,(4)指定管理者がその指定を取り消されたときに臨時で,というわけです。今回の事例では公募をしていませんので(2)(3)でないことは明らかです。また,新しい構想として立ち上げているので,(4)でもありません。では(1)に該当するのでしょうか。
 
 しません。先に述べたようにTポイントカードを導入する,つまりポイントプログラムに参加することで読書履歴が個人情報に紐付いてCCCに渡ることは明らかですから。このことは第三条で定められた事業計画書の提出ではっきりわかるはずです。
 
 武雄市長は条例を自分勝手に解釈しただけでなく,市民を含めた多くの人々に向けて公人としてウソをついています。
 
 さて,なぜ市長はCCCを指名し,議会の合意を得ずにCCCと基本合意まで交わしたのでしょうか。
 
 Ustream会見の文字起こしが有志によって提供されています。
 これを読めば,まずCCCありきで市長が動いたことは明らかです。まずCCCに接触し,その企業活動を知り,社長と交流し,案を練り,CCCに委託することを決めたとしか読めません。他社と比較した様子は全く見えません。
 これでは武雄市の条例が指定する条件を満たしていないのではないでしょうか?
 
 市政を趣味と言い,公私の区別もつかない市長。個人的に仲のいい人物が経営する会社を市の予算で引き込むくらい朝飯前なのでしょう。
 
 長くなったので個人情報保護法関連はまた次に。