「公式見解」のウソ - 岡崎市立中央図書館事件の裏側

 
 取材によっていくつかの謎が見え始めました。たりきです。
 
 えと。まずこちらをご覧ください。9/1(水曜日)の休館日に発表された岡崎市立中央図書館の公式見解。
 http://www.library.okazaki.aichi.jp/tosho/about/files/20100901.html
 
 続いてこちら。9/3(金曜日)15:30 に発表された MDIS の公式見解。
 http://www.mdis.co.jp/news/topics/2010/0903.html
 
 いずれも共通して「大量アクセス」によってサーバに繋がらない,または繋がりにくいという状況になった,と説明しています。
 
 大嘘です。この一文に二つの大嘘が混じっています。
 

大量アクセスのウソ

 
 10分間に数百アクセス(個別利用者/Cookie による識別)。これがセッションの上限値でした。
 10分間に数百アクセスが上限値ということは,Cookie を送信しないクライアントが約1秒に1回アクセスすると DB アクセスができなくなるということです。
 librahack 氏のクローラはその上限をわずかに下回る性能でした。
 それは,「日によっては正常に取得できていた/止まらなかった」という事象に符合します。
 
 1分間に数百アクセス。これがどの程度か考えてみましょう。試しに,メモ帳を開いて,「A」のキーでも押しっぱなしにしてみてください。ダダダっと「A」が連打されたと思います。このスピードが,F5 ボタンを押しっぱなしにしたとき,すなわち,「F5アタック」一人当たりのスピードです。
 F5 アタックのスピードはいかがでしたか?1秒に何発も打ち込まれたことと思います。これを10分続けると,その600倍の数が打ち込まれることになります。さらにブラウザは平行していくつものリクエストを投げられますので,さらに数倍のリクエスト数になります。10分間で数千から万を超える数のリクエストとなるでしょう。
 ですが,ふつうのサーバは,一人ぶんの F5 アタックでは落ちません。ビクともしません。
 対して岡崎市立中央図書館のサーバは,それよりはるかに少ないアクセスにも耐えられませんでした。
 
 10分間に数百回。これは「10分間にわずか数百回しかアクセスできない」という低性能であることを意味します。
 特にチューニングしていない,インストールしただけのWEBサーバでも,その何十倍から百何十倍もの性能を発揮します。
 10分間に数百回程度のアクセス。これを「大量アクセス」と呼ぶのは不適切です。
 

サーバに繋がらない,または繋がりにくいという表現のウソ

 
 サーバには繋がりました。そして,正常にエラーを表示していました。
 検索機能が使えない,というのは,MDIS によれば「不具合ではない」とのことですから,正常な動作のはずです。
 MDIS に電話取材したところ,「上限があるのは不具合ではない」「お客様のニーズに合わせたとしか言えない」とのお返事を頂きました。つまり。
 
 1分間にたった数十回のアクセスが続いただけで,検索できなくなる。それは不具合ではなく,お客様のニーズに沿ったものである。
 
 そしてその通り,検索や予約ができなくなりました。WEB サーバは検索できない状態を「内部サーバエラー」として表示しました。エラーページでも表示してくれればよかったのですが,単にレスポンスコード500を返すだけでした。
 WEB サーバには正常に接続できていました。そして,接続数があまりにも低い上限に達したとき検索できなくなるのは不具合ではないと表明されています。
 つまり,MDIS が言うには,それは適切な動作だったはずなのです。
 
 WEB サーバに繋がりにくい,繋がらない状態はありませんでした。
 あったのは,バックヤードで DB サーバと接続できない,という,上限値による制限でした。
 それはあらかじめ組み込まれたもので,利用者に責任を負わせる類のものでもありませんでした。
 

ウソはいかんよね

 
 正直になれよ。