じゃあ岡崎市立図書館の件についてたりきはどう考えてんだYO!

 
 まず,全てが不幸なめぐり合わせだったと考えている。貧相なサーバ,何故か出しちゃった被害届,突然の家宅捜索と逮捕,20日間の勾留,送検,起訴猶予処分。
 全部にミスがあって,どこが一番悪いとかじゃない。強いて言えば,最も権力のある警察の対応がマズい。
 
 なんたって,上のほうで書いた通り,犯罪を構成しないはずの案件において,愛知県警は立件しちゃった。それがまず一番マズいと考えている。
 警察は証拠を吟味したうえで,もっと慎重にいくべきだったと思っている。逮捕・勾留の権限を行使する前に,できるだけの捜査をするべきだった。そして,捜査の段階で,証拠を吟味するのに充分な知見を持っておくべきだった。
 業務妨害の要件は,業務が妨害されたという事実と,妨害したという行為,妨害するという意図(故意または未必の故意)が必要になる。このうち,故意が満たされない。
 警察的には「動機が見当たらない」という状態になっていたはずだ。普段から Libra を利用しているユーザで,Libra を止める合理的理由がない。むりにこじつけて理由をつけたとしても,事情聴取ですぐに本当の動機がわかる。
 それは「自分専用の図書館蔵書サイトを作りたかった」というもの。スクリプトはその目的に叶うものであったし,品質は個人で使うのに十分だったのだろう。
 
 どこから見ても逮捕に至る理由が無い。そもそも librahack 氏には動機が無いし,スクリプトを証拠物件として抑えればごく普通の WEB 系アプリとしてはかなり安全側に倒した設計と運用になっていたことがわかるはずだ。
 
 もちろん,警察が独自に分析までやれとは言わない。必要に応じて第三者機関の手を借りればいい。
 
 最大の問題は。
 librahack 氏に(未必の)故意がないにも関わらず,嫌疑不十分(=犯罪ではない)とならず,起訴猶予処分(=犯罪だけど情状酌量して起訴しないよ)となったこと,だろう。
 20日間に渡る取り調べの結果,送検されて起訴猶予処分になっちゃった。前歴がついて,履歴書に書かなきゃいけなくなった。
 それって嬉しくないよね,ってこと。警察は被害届の主体が法人だろうが個人だろうが必要なら捜査をします。当然だよね。で,被疑者の事情聴取とか,証拠固めとか,そういうことが行われる。
 そのとき,「警察が充分な知見をもっていないせいで証拠の吟味が不十分であった場合に,被害者保護を口実に加害者を仕立て上げるのではないか」という危惧が,現実のものになっているように見える。
 
 被害届や告訴状を出すなとは言えない。もちろん技術的にフォローアップできる範囲は,技術的にケリをつけるべき話だと思う。もっと言えば,本件においてはアクセスログから利用者がすぐ紐付いたであろうことは容易に想像できる案件であり,ならばこそ,「ちょっと迷惑なんだけど?」と警告するくらいはしてもよかったのではないか,と思うのだよ。
 
 いきなり被害届よくない。
 ろくな捜査ができないのもよくない。
 いきなり逮捕もちょっとなんとかならんか。
 20日も拘束して無理矢理調書作ったんじゃないのか。
 librahack 氏には確かに「過失によってサーバを止めた民事責任」はある。でも故意じゃない。未必の故意でもない。刑事責任は無いはず。
 確かに被害届の出し方はイタい。けど,警察の対応はもっともっとイタかった。
 
 だから,被害者側の対応が大雑把過ぎるのは折込済みとしてなお,警察にも,最低限の知見は持ってもらいたい,それに基づいて立件判断を下して頂きたい,そう思うわけだ。
 
 警察だけに技術つけろと言っているわけじゃない。
 警察「にも」そこそこの技術くらいは持っていてもらいたい,かつ,必要に応じて第三者機関の手を借りてもらえばいい。そのとき,分析結果を読める程度には,技術的知見を持っていてもらいたい。
 
 そう考えているのだよ。