SC3WX06AS レビュー

 
 発売直後にあっちこっちでレビューあがったんでおまはやだけど。
 

機械として

 
 つくりはしっかりしている。ベゼルの保持力も充分で,ノートパソコンスタイルで使っていてタッチパネルをつついてもぐらぐらしないのは好感触。
 ただ,しっかりしすぎてピュアタブレットスタイルにするとき若干硬いのが難点といえば難点か。まあ気にするほどのことではないと思われるが,けっこう力がいるので「あれ?回す方向逆だっけ?」と一瞬あせることが。
 キーボードはこのサイズなら仕方ないか,という水準を上回る出来。おいらは指も太いのでタッチタイプはできないけれど,慣れの問題かも。タイプ感は悪くない。
 タッチパッドは基本的に嫌いなんだけど,SC3WX06AS のタッチパッドはほかのノートよりいいかもしれない。使っていて不便は感じなかった。感度,反応ともに不満なし。これならパッドでも使える。
 パッドの左右クリックボタンは硬すぎずやわらかすぎず。サイズもちょうどよく,左右クリックで迷ったり間違って押したりもほとんどない。
 メインで使うには小さすぎるけど,モバイル用途なら充分。
 タッチパネルの感度は微妙。カーソルのズレがうまく調整できてないのは俺のせいだと思う。Tablet Edition でも Vista でもないので,タッチがクリックに,長押しで右クリックになるようになっているのが一部のアプリケーションと相性悪い。
 また,ペンでタッチするとき画面の端にタッチするのが難しい。これは液晶が埋め込みで,Willcom D4 みたいにフラットではないから仕方が無い。
 
 ペン入力のとき,クリックが微妙な反応になる(マウスの左ボタン Down メッセージの直後に Up イベントを送出している?)のが問題か。クリックすると音が出るタイプのソフト(たとえば,ディレイラマ)だとペンでタッチしても音が出ないことがある。タッチした瞬間に少しずらすとドラッグ扱いになって MouseDown が維持されるのか,音がちゃんと出た。
 タッチパネルに関しては「ドット単位の操作は無理」「ドラッグの反応が少し遅れる」といった問題があるけれど,致命的な問題ではないと思う。絵描き目的だとしたらたぶんガッカリするレベルではあるけれど,普通の使い方なら大丈夫。
 ただ,画面の端にタッチしづらいので,スクロールバーを操作しにくい場合がある。特に縦のスクロールバーが使いづらいかもしれない。
 
 WindowsXP Home のおかげか動作は軽い。メモリ 1GB と 1.33GHz 動作の Atom で充分だなと思わせる。ネットブックの標準的なスペックよりやや下回るスペックとはいえ,これなら問題ない。
 性能的には不満なし。
 

ネットワークとか

 
 無線LANの感度は良好。
 うちの AP がヘボいせいでときどき接続が切れたけど,概ね問題なし。
 有線LANはまったく問題なし。
 

WindowsXP Home

 
 とりあえず標準のユーザと Administrator にパスワードを設定。簡易共有をオフにして Guest アカウント無効化を確認。
 FM-V LOOX U みたいに指紋認証があれば完璧だったかもしれない。
 セキュリティ的にはアカウントをがっつり保護するくらいしかできそうにないので,とりあえずその方向でやっておくことに。
 ドメインに参加させるわけではないので,特に Home でも機能的には問題なし。ただ,パスワードはしっかりしたものを使うようにしないと怖い。
 アカウント管理に慣れていない人だと,ついパスワード設定なしのまま使い続けてしまいそう。
 

DTMしてみた

 
 Domino という MIDI シーケンサーを入れてみた。ピアノロールで入力する。
 ノートを置くのに不便は無い。むしろペンでタッチすると次々ノートが置けるので,マウスでノートを置いていくより感覚的にポンポン置ける。置き間違えたノートを移動するのも楽。
 問題はノートの長さの調整が難しいこと。先に述べたように,タッチがクリックに,長押しが右クリックになるので,「つかんで移動」がやりにくい。ほかではドラッグ操作が普通にできるので,Domino との相性が悪いだけかもしれない。
 ノートの端をつかむのがとにかく難しい。つかみ損ねてノートを移動させちゃったり,右クリックとして反応しちゃったりする。
 結論として,タブレットスタイルだけで入力を行うのは難しいのではないかと思った。
 ただ,ノートの長さを調整するのは難しかったけど,ベロシティの曲線を描いたりするような操作はマウスよりペンのほうがはるかにいい。また,ノートの長ささえ変えなければ他の操作についてはまったく問題が無いので,ピアノ音色で短めの音符をポンポン置いていってラフスケッチをしてからあとでじっくりタッチパッド音価を合わせればいい,と考えれば,どうせモバイルで作りこみはできないんだから充分なんじゃなかろうか。
 
 画面サイズが微妙なので,ステップ入力用のウインドウを隠して,ピアノロールも一段階拡大したところちょうどいい大きさになった。1オクターブと少し見えて,2小節くらいは幅を取れる。クオンタイズの設定しだいだと思うけど,4小節表示させてもそれなりに入力できた。
 
 音源には,MIDI YokeVST Host をインストールしたうえで VSC を使ってみたところ,特に遅延無く発声した。また,S-YXG をインストールしたところ,こちらも問題なく発声した。
 とはいえ重い音源を積むにはディスク容量も処理能力も足りないので,やはり基本的な音色でラフスケッチが限界。持ち帰って母艦上での仕上げを行うと考えると,音源にはこだわる必要はないと思われる。
 音声合成ソフトのひとつである softalk(いわゆる「ゆっくり」声)も問題なく動作した。ただし,あらかじめ VB6 のランタイムをインストールしていることが必要だった。
 AquesTone あたりも動くと思われるので,歌モノのラフも作れるんじゃなかろうか。
 

遊んでみた

 
 自宅にある動画コンテンツを再生してみた。ニコニコ動画は問題なく再生。ニコ動やようつべからダウンロードした動画もカクツキなしで再生できたので,布団でラッコスタイル視聴するにはまったく問題なしと思われる。
 スピーカーは小さいし音源もたいしたチップ積んでるわけではないみたいで,音質はソコソコ。
 
 ゲームとかはまだ試してない。3D 系のオンラインゲーム(パンヤとか)はまず無理らしいので最初から却下。配布終了前に確保しておいた「ディアブロの大冒険」とか,あとは WEB 上であそべるフラッシュゲームあたりで試してみようかな。
 

全体的な感想

 
 Zaurus を置き換えるには通信機能がネックになる。Express/34 のコネクタがあるのでそちらに乗り換えるか,USB 接続で乗り切るかを考えないといけない。
 ペンでの操作は慣れの問題かな。ペン入力用のドライバ(アプリケーション)側の問題か,若干不満があるものの概ね問題はない。絵描きをしないのであれば薦められる水準。
 重さも気にならず,長時間使っていても熱くなりにくい。わりと早いうちにほんのりホットな感じにはなるが,それ以上温度が上がることはない様子。サイレントモードを設定しなくても音が気になることはなかった。
 Zaurus 二台分のサイズにはなるが,画面も広くなり,新書サイズの紙面を原寸大で表示できるのはいい。タブレットスタイルで表示を90度回転させると,本を読んでるみたいなスタイルになる。これなら縦書きの文書も読みやすいと思われるので,電子文庫なんかにはいいかも。個人的には横書きのドキュメント類ばっかり使っているので,横置きスタイルが中心になると思う。
 
 贅沢をいえば,ペン入力ドライバがもう少し洗練されていれば。あるいは WindowsXP Tablet Edition だったらよかったんだけどな。
 
 致命的な問題もなく,自宅で使っていたアプリケーションの大半がそのまま動くうえに,ペン入力で一部操作性が向上する。ダイヤルアップ環境さえしっかり作れれば,満足できるものになると思われ。
 
 そういえば Willcom 3G が始まるなあ。Zaurus から完全に乗り換えることを考えたら,USB 接続なデータ通信カード(?)に機種変更しちゃうのも手か。
 
 思ったよりいい買い物でした。ひさしぶりに楽しいことをしている気分。