手も足も出ない
そもそもセキュリティ屋には権限が無い。
せいぜい、客との契約で若干の権限をもらうのが精一杯だ。
提案する権利、くらいのものを。
知りたい奴には教える。知りたくない奴には届かない。文字通り、馬鹿の壁がそこにはある。壁の向こうにキンタマ感染者がうじゃうじゃいやがる。
俺には手が出ない。
どうしようもない。
手が届かないんだよ。
馬鹿を取り締まれるわけでもない。
無理矢理教育できるわけでもない。
警察みたいに馬鹿な奴をとっ捕まえて、刑務所みたいに再犯防止教育をしてやれるわけじゃない。
門戸は開く。でも、その外にいる奴らのことまで抱えきれない。
せめてクローズドにはしない、それしかできないんだよ。
つうか、箸や鉛筆の持ち方から教えなきゃいけないなんて、予想できなかったんだよ。できたとしても教えてるだけのリソースなんか捻出できねえよ。
どう考えてもおかしいだろ。偽装されてるつっても、メディアプレイヤーの脆弱性だの JPEG やら WMF のライブラリの脆弱性だのを悪用したわけじゃないだろ。そもそも情報漏洩系の仁義なきキンタマはファイル名から名乗ってるじゃないか。「仁義なきキンタマ」って。
そんなもんに感染するって、脳がトコロテンでできてるのかよ。それとも豆腐でできてるのかよ。
どうやってトコロテンや豆腐に常識を教えればいいんだ。ムリだろそんなの。
っつうか、ダウソ板から検体が提供される。ワクチンベンダが対応する。クライアントはパターンを更新して防御する。本来ならそれでうまく回るんじゃないのかよ。
プロだの専門家だのはタッチしなくても回るだろ。
そかもあんなショボい感染方法のものだぞ。
ワクチンもまともに使わず常識もわきまえずちんちんこするだけの奴にどうしろと?
一人一人調べて回るわけにはいかないんだ。そんな権限もリソースも何も無い。
提案することはできる。俺ですら Winny 関連の検索で来たアクセスをリファラで晒して「帰れ」だの「Winny では落とすな」だの書いた。
何の効果も無い。そういうもんだ。
手も足も出ないんだよ。殴りつけてでも教育できるならそうするところだけどな。そんなことができるわけでもないし。
ダメな奴には何を言ってもダメなんだということが明らかになった。それを踏まえてどうやってアクセスコントロールするか、だ。
俺らが守るべきなのは何だ?
馬鹿みてえになんでもかんでもカチカチクリックする馬鹿はこのさい死ね。
そういう馬鹿からどうやってネタを守るかだ。
駆除できりゃ駆除するよ。そういうわけにもいかないから困ってる。
そもそもタッチできない組織の内部から何が漏れようとどうしようもない。そういうもんだ。手が届かないんだから手が出ない。
いくら遠くでキャンキャン吼えても届かない。
無力なもんだ。