女系天皇?

 
 よくは知らないんだけど、皇室典範を改正しようという動きがあるらしい。なんでも、女系天皇をOKにしようじゃないか、というものらしいがふざけんなと言いたい。っつうか専門化がほとんど含まれない「有識者団体」だかなんだかが意見書出したらしく、それをベースに次の通常国会皇室典範の改正案を出すそうだが。
 
 皇室はそもそも何かわかってないんだろーかね。
 
 皇室っつうと、まあ、この場合天皇としていいわけかな。天皇っていうと、誰もが思い浮かべるのが「日本の象徴」だな。憲法にもそう書いてある。うん、それはそうだ。
 でも、それ以外に大事なものがある。それは何か。
 
 世界で唯一現存する「皇帝」である、ということ。
 世界でごく少数しかいない「法王」である、ということ。
 唯一、皇帝と法王を兼ねる「教皇」であるということ。
 現存して系譜を辿れる王室として最古のものであるということ。
 
 天皇陛下は宗教的な意味合いでは、ローマ法王と同じ位におられるということだ。
 それだけでなく、身分としては首相はもちろん大統領や国王より上位に立つお方だ。
 イギリス王家よりも位が高い、というわけだな。
 しかも系譜を辿れば、100代を軽く超えて遡れる。125代ということになっていたと思うけど、最初のほうはかなり神話が混じっているのでちょっとアヤシイっちゃアヤシイわけだが、それでも実在したとされるところまで辿って100代くらいは軽くイっちゃうだろう。
 
 陛下が外遊なされると外交官1000人分以上の外交的効果がある、と言われるが、そりゃそうだろう。そんなエラい人がわざわざおいでになって、お言葉をかけてくださるのだから。
 皇族の方々も同じだ。まさに王室外交の上をいくパワーがある。そのうえ、皆様おだやかで人格者だ。歴代の天皇においては様々な逸話を残しておられる。
 国に対して実権をほとんど持っていない陛下が日本を様々な形で支えておられる。
 しかも、無形文化財どころか世界遺産級の貴重な存在でもあらせられるわけだ。
 
 それだけパワフルで世界に通用する天皇という存在、その天皇の系譜はただ一つのルールで継承されてきた。
 継承のルールには様々なものがある。わかりやすいのが「一子相伝」だろう。宗家、つまり本家の長男がその家督を継いで家を守る。歌舞伎やらなんやらの伝統芸能や武術武芸、茶道や華道などでよくあるね。
 一子相伝ではなく、家督相続の形式もある。養子でもオッケーな方法で、血のつながりよりも家のつながりを重視する方法だ。確か新撰組の誰だったかが養子縁組で入った家の家督を継いでいたと思うんだけどよく覚えていない。
 で、天皇家はどうか。これがまたちょっと異質っぽいんだけど、「男系」であること。これが唯一のルール。男系であることって何よ?っていうと、「天皇の父の父の父の・・・・・父」と辿って、最終的に神武天皇に繋がればいい。いまのところこのルールは破られていないので、父親を辿って歴代天皇のうち8人の女性天皇を除く誰かに繋がればよい、ということになる。
 長男である必要もなければ、女性でもよい。本来の皇室のルールでは、女性天皇であってもその父をずーーーーっと辿って天皇にたどり着ければ問題にはならないってこと。
 そんだけ。わりと単純。
 
 ただし、女性天皇の御子であっても、その父(つまり、女性天皇の夫)の系譜を父系で辿って天皇に結びつかなければ、御子には皇位の継承はできない、ということになる。そういうルール。
 
 で、女系だとどうなるの?ってことだが、これは皇室の伝統を途絶えさせるということになる。まず、男系ではなくなるため、皇室の系譜とは別の皇室になる。100代以上続いた皇室が途絶え、新皇朝になるというわけだ。
 家ってのはルールが適用できなくなったらそこで途切れてしまう。そういうもんなんだ。一子相伝の家系が男子に恵まれなかった場合、途絶えてしまうようなものだ。*1
 要するに、女系天皇天皇家を途絶えさせるってこと。そんなことを天皇家にことわりなく決めていいのか?って話でもある。さらに、天皇家は日本神道の法王でもあるわけで、そうなると日本神道全体の問題にもなってくる。規模こそ違うけど、仮にもしあのコンクラーベのとき「ローマ法王の決め方」を変えよう、って動きがあったとしたらどうなったかを想像するといい。ふつうに考えて、法王庁だって許せないだろう。
 
 さらに問題がある。上でも書いたように、皇室のルールでは女性天皇の即位を妨げるものはない。なのに、皇室典範では女性天皇の即位ができないことになっている。
 皇室典範のルールのほうがおかしいわけだ。なのに、皇室のルールを変更させることで対応しようとしている。話の筋が通っていないってことがわかるよな。
 
 「あー、キミん家は相続させないことに決めたから。町内会で。」
 
 そんなこと言われて平気か?って問題だ。しかも、それを決めようとしている奴らの大半が門外漢。皇室のルールも伝統もその意味も知らない奴らが皇室のルールを変えようとしているってわけ。
 
 女系天皇論のおかしいところはたっくさんある。なにより、詳しく調べていくと天皇家天皇家のルールに従ってちゃんと存続させる方法があることがわかる。
 宮家の復帰だ。戦後、皇室の財産が没収されたために規模を縮小しなきゃいけなくなった宮家を復帰させ、男系の天皇を維持すればいい。
 つまりだ。陛下が崩御された場合、皇太子殿下が皇位を継ぐ。第二位には秋篠宮殿下がおられるので、そのあたりまでは現在のルールで問題無い。
 その後が問題になっているわけで、現在、皇太子殿下には愛子様秋篠宮様には眞子様佳子様・・と、女性ばかりであることが問題である、ということだ。
 ぶっちゃけ、愛子様が即位されても問題無い。さらには眞子様佳子様が即位なされてもかまわない。これは皇室のルール上、そういうことになっているからだ。皇室典範を皇室に合わせればよい。
 ただし、その後愛子様眞子様佳子様のどなたかが天皇家と父系で繋がる人を夫に迎え、かつ男子に恵まれない限り、皇室典範ルールを併用していると父系が途絶えてしまう。そこで、宮家復活だ。最も近い旧皇族から男系のルールに沿う人を探し、皇位継承を行う。これなら皇位は従来どおり存続できる。伝統は破られず、天皇の系譜は続く。
 
 皇室典範が変な押付をしなければ、皇室ルールでちゃーんと皇位は継承されていく。何ら問題はない。
 皇室典範改正を言い訳に、皇室を途絶えさせようとしている勢力は何を考えているのかな?
 
 かつて日本は天皇の名のもとに大きな戦争をいくつかやったね。実際には今と似た立憲君主制で国の実権は内閣が握っていたわけだけど、まあ、要するに象徴としてだな。
 日清、日露、太平洋戦争。二勝一敗、でもその一敗も10ラウンドのうち3ラウンド目くらいまで優勢だったりした。つうか、当時の情勢で日清戦争にしろ日露戦争にしろ、日本が勝つなんて奇跡みたいなもんだった。まあ、そんな奇跡を実現しちゃったから太平洋戦争で講和のタイミングを見失っちゃったんだろうけどね。
 
 つか、恐いんだろうね、天皇の旗印が。日本人にとっては単なるロイヤルファミリーでもさ。
 だから天皇を潰したい、そういう奴等がいるんだろう。
 天皇は存在するだけで諸外国を威圧できる、真の皇帝なわけだ。実権なんかカケラもないのにね。
 
 だからこそ、皇室は維持しなきゃならんのではないかな。下手に手を出すとまた天皇の旗印で・・・と、使わない核の威圧と同じように抑止力効果を期待できる究極の平和的兵器として。
 だってそうだろ。天皇陛下は人を殺したりしない。最も安全で、効果的な威圧をやってくれる。
 日本にとって天皇はなくてはならない存在だ。だからこそ、「皇室」は維持しなきゃならん。
 
 
 皇室、天皇は日本の象徴であると同時に、日本の、そして世界の宝でもある。
 
 そういうことだ。
 天皇って存在は、歴史の重みと、その立場と、影響力っていう面から見ても維持すべきだ。
 「もう古いから東大寺ツブしてビルにしよーぜ」って言い出して、誰か賛成するか?
 女系天皇ってのは、それよりももっと酷いことをやろうとしているってことに気づかなければならない。
 
 
 皇室典範の改正案、これよく見ておかないとマズいことになるよ。
 
 
 参考にしたサイト:(これらを参考にしてこの程度かよ!!ってツッコミは無しで。俺の能力不足でふ('A`))
 「大人の無法地帯」天皇の価値  http://www.infosnow.ne.jp/~sevas/adult/japan/japan2.html
 「バーチャルネット思想アイドル やえ十四歳」わかりやすい天皇家の問題 http://www.amaochi.com/yae_log079.html#051116
 
 その他、様々なサイト・宮内庁など。
 

*1:だから、厳密に言えば北斗神拳は一子相伝ではない